『・・・・・こちら確保!確保!ゲンタイ(現行犯逮捕)します!!飲酒の疑いあり、至急応援願う!!』


本日2月9日深夜1時過ぎ、国道6号線下りの葛飾区白鳥交差点を住宅街方面へ右折した瞬間、対向車線信号待ちの停止線付近で止まる黒のミニバンの運転手を自転車の警察官二人が身柄確保している現場に遭遇し、『なんだ!?』と思って車の窓を開けた際に聞こえてきた緊迫する声でした。

信号待ち職務質問での飲酒運転検挙かと思い黒いミニバンのフロント部分に視線を移すと右半分のフロントバンパーが大破しており、明らかに何かに衝突した形跡が確認できました。

『信号待ちの原付か何かに追突した?ガードレールに当たったか?とにかく逮捕の瞬間を見てしまったな、飲酒の事故は怖いな・・・』などと思いながらそのまますれ違いましたが、逆車線には黒のミニバンが垂らしながら走ってきたであろうオイルのような液体の跡が確認できました。

その時に『今のミニバン、ひき逃げ(当て逃げ)逃走犯か!!』と直感、身柄確保の対応をしていた自転車の警察官も衝突した現場はまだ特定できていないのではないかと思い、自身の運転に十分気配りをしながら逆車線にあるオイル痕を辿っていきました。
ひき逃げ人身事故である場合、被害者が衝突現場に置き去りになり救護が遅れて命を落としたケースは、誰もが一度は耳にしたことがあると思います。つまり、もしどこかで人が倒れたまま放置されているならば、早く発見する必要があると判断したのです。

途中で緊急サイレンを鳴らしながら対向するパトカーに遭遇しましたが無線情報が錯綜していたのか一台目は目指す方向が、先ほど身柄確保を目撃した現場から反れた方に行ってしまい、二台目のパトカーも別の方向に向かいそうだったため、合図をしてすれ違いざまに『この先のあの場所で確保だから前のPCにも無線入れて!』と伝えて、再び路面のオイル痕を追います。
逃走経路(葛飾区立石6-9付近)
黄色い丸で囲んだ部分が逃走中に垂れ流していたであろう液体の跡です。

この辺りは小中学校の通学路となり、登下校の時間帯には多くの子供たちが毎日歩いている道です。
逃走経路(葛飾区立石6-9付近)
逃走車両は走りっぱなしではなく所々に一旦停車したような形跡もあり、実際に素手で液体に触れてみると車のオイルだったため、逃走経路に間違いないと確信しました。

オイル痕が途中で薄くなったりしましたが、それはスピードを上げていたからではないかと想像できます。

裏付けるように、信号のある交差点の手前にあたる場所では減速していたのかオイル痕がハッキリと残っています。
逃走経路(葛飾区立石7-10付近)
この辺りになると、オイルに混じってプラスチックか金属の破片のような物も転がっているのも確認できました。

衝突現場が近づいてきたことを感じ、ここで110番通報です。

警視庁110番緊急窓口で経緯を説明すると『運転手確保の情報は既にこちらにも入っているが事故現場はまだ特定できていないようだ』と言われ(後にそれは誤報と判明しましたが)、路面に残ったオイル痕を追っていることと衝突現場が近いと思われること、現在地の詳細と進行方向を伝えて、許可を得て通話状態のまま更にオイル痕を追います。

この先に惨状があるかもしれないと思うと緊張しますが、命に関わる事態かも知れないため慎重に進まなければなりません。
逃走経路(葛飾区立石7-4付近)
踏切に差し掛かったところでオイルがベッタリと付着したバンパーの一部と思われる破片も確認です。
逃走経路(葛飾区立石7-1付近)遺留物
一般の通行車両が踏みつぶしてしまう恐れもあったため、現状の画像を何点か残してから道路脇に置き直しました。


更に追い続けると商店街出口付近では水たまりレベルのオイル痕もあり、客待ち待機をしていたタクシーを避けて走り去っていったのがよくわかる痕跡です。
逃走経路(奥戸街道・葛飾区立石1-20付近)
この辺りだと逃走車両の目撃者も複数いそうな状況です。

そしてついに事故現場に到着、警察官が既に数名到着しており、ここで110番緊急窓口との通話は終了、現場の警察官の妨げにならないような位置で状況を見てみます。
飲酒運転単独事故現場(葛飾区立石1-11付近)
どうやら単独事故のようで、衝撃音に驚いた近隣の方が110番通報したものの、管轄をまたいだ逃走経路に先述の通り警察無線も情報が錯綜していたようで伝達が正確にいっていなかったのではないかと想像できます。

ある程度落ち着いた頃合いを見計らってから警察官に声をかけ、安全確保の誘導を受けながら現場の撮影をしていきます。
飲酒運転単独事故現場(葛飾区立石1-11付近)
T字路を曲がり切れずに突っ込んだようです。
飲酒運転単独事故現場(葛飾区立石1-11付近)
ガードレールと電柱に当たっただけと思いましたが・・・

歩道に乗り上げてはいないものの、通行人がいたら命を落としていた可能性も十分あります。
飲酒運転単独事故現場(葛飾区立石1-11付近)
現場の警察官が言うには日中は人通りも多く親子連れも頻繁に行き交う道だそうで、深夜帯で歩行者や自転車が巻き込まれなかったことが不幸中の幸いだそうです。
飲酒運転単独事故現場(葛飾区立石1-11付近)
一歩間違えれば大惨事、決して許されることではありません。
飲酒運転単独事故現場(葛飾区立石1-11付近)
落下したバンパーなど遺留品が多く、走り去った形跡もハッキリわかります。

ミニバンが停止させられていた運転手確保の現場に戻ると既に逮捕して連行済みらしく、こちらも消防と現場の警察官の誘導協力をいただき撮影しました。
飲酒運転逃走犯確保現場(葛飾区青戸4-2付近)
よく見ればタイヤ軸も大きく曲がっており、逃走中も異音が鳴り響いていたと想像できます。
飲酒運転逃走犯確保現場(葛飾区青戸4-2付近)
飲酒運転・事故・逃走と、このようなドライバーは本当に厳罰化して欲しいものです。


とっさの判断もあり、自身の判断が正解か誤りかはわかりません。
ですが、その一瞬の判断で救える命があったり、事件解決に大きく貢献できるということを実体験として経験しているため、捜査の妨げにならず二次被害を発生させないのであれば進んで行動することは大いに意味があると思っています。

今回のケースではドライバー本人が軽傷という以外、幸いにも怪我の被害者はいないそうです。

ただし、それは偶然誰も巻き込まれなかっただけで、衝突事故後の逃走中に人身事故を起こしていた可能性も大いに考えうるため『単独事故だから厳罰に処さなくても』という訳にはいかないと考えます。

悲惨な事故を増やさないために、被害者にならないために、少しでも参考になれれば幸いです。

乱文失礼します。
アットレスキュー24